皆様こんにちは、Onogamesの棚橋です。
先日、バトロコ高田馬場店で開催された「RPTQ GUILD OF RAVNICA」を突破する事ができました。
使用したデッキは「赤黒フェニックス」という、あまりメジャーとは言えないようなものですので、今回はそのデッキが生まれるまでの経緯を書きたいと思います。
◇構築前段階
GP千葉後、最初に触ったのは青単霊気貯蔵器でした。
ゆうやん君の記事を読んで惹かれたので回してみました。色物かと思いきや、デッキが強く、当時はあまりマークされていなかった事もあり、その頃に開催された「The Finalsエリア代表決定戦」を勝つ事ができました。
前述の記事に掲載されていた75枚はすでに完成度が高く、自分で使っていても特に弄るところは無いように思っていたので、このままRPTQ、日本選手権に向けてプレイの精度を高めて行こうかと考えていました。
ところがそううまくはいかないものです。
プロツアーで青単霊気貯蔵器はDeck Techにも取り上げられるほどに目だってしまいました。
その辺りを境にMOでも対策が進み、《練達飛行機械職人、サイ》がとにかく除去されるようになってしまいました。
《木端+微塵》をよく見かけるようになりましたし、《無許可の分解》の枚数も増えてるリストが散見されるようになりました。緑が入っているデッキも《刻み角》を採用し始めました。《刻み角》がいる盤面では《練達飛行機械職人、サイ》によるブロッカー生成が制限されたり、即席が使いづらくなります。
意識されすぎて立ち位置が相当厳しくなったなという印象を得ました。
加えてコンボデッキという性質上、引きがかみ合わずにひたすらサンドバッグにされる展開もしばしば。リーグに出ても4-1以上ができなくなり、「これは今後使っていくには厳しいかな」と判断し、別の道を模索する事にしました。
この時点でお盆休みの直前、RPTQまで残り2週間しかありません。
◇構築
さて、どんなデッキを組もうか...。プロツアーでは相変わらず赤黒アグロが王道を走っていたため、前提として今後も増えそうな赤黒アグロにはしっかり有利がつくデッキを選択したいところです。
ここで一つ頭に浮かんだのは、The Finalsエリア代表決定戦で金沢に遠征した際に見かけた、まっちゃんこと松本郁弥君が使ってた赤黒でした。
《風雲艦長ラネリー》でマナブーストして5マナのカードを連打するミッドレンジ風のデッキなのですが、《鎖回し》や《くず鉄のたかり屋》などのアグロ系カードが入っておらず、序盤は除去で捌くような感じのデッキでした。
重いカードで盤面を制圧するため赤黒同型には強そうで、コンセプトを拝借して自分で組んでみたところ以下のような構成に。
このデッキをベースに少しずつ構成を弄りながらひたすらリーグに出続けてみての感想を挙げてみます。
悪かった点
・青系コントロールが厳しい
デッキの構造上、青系コントロールにはメインボードは10000%負けるため、サイドボード後に連取する必要があります。これはデッキ構築時から承知の上でしたが、サイドプランが強くなかったため、マッチを通して勝ち切れませんでした。
ロングゲームが前提なのに、《アズカンタの探索》への回答がないのは完全に失敗です。
《アズカンタの探索》の生み出すアドバンテージに対し《オラーズカの供門》では勝負になりません。
・《反逆の先導者、チャンドラ》
常に盤面を捌いていかないとならないため、《反逆の先導者、チャンドラ》は小マイナス能力の起動から入る事が多いです。
そうなると返しの《鎖回し》で《反逆の先導者、チャンドラ》が落とされてしまい、結果としてただの4マナ4点ソーサリーで終わってしまいます。こちらからプレッシャーを掛けることが無いため、相手も《鎖回し》を温存している事が多く、このケースは頻発しました。
コントロール相手にも2点飛ばしたところに《ヴラスカの侮辱》が飛んできて、何もなかった事になります。
《再燃するフェニックス》、《ヴラスカの侮辱》4枚ずつは同型に勝つためにマストなので減らせず、9枚以降の4マナカードはマナカーブが歪になりマリガンを増やす原因となります。
・《風雲艦長ラネリー》
エスパーを相手にしたときには喪心や一押しに耐性があるため頼りになるのですが、肝心の赤いデッキに対して弱いのはやはり問題でした。
この頃は赤単ケルドが増えてきていて、山1枚立っているだけでプレイしにくくなるのも向かい風でしたね。(ほぼほぼ《ショック》が4枚採られているため)
・《凶兆艦隊の向こう見ず》
こちらが展開しなければ相手もスペルを使ってくれないので、ずっと手札でもじもじする事が多く、防御的なデッキでは上手く使えませんでした。
仕方なくブロッカーとして立てると鎖を回されてポン。コントロールからは余った除去が飛んでくるだけ、緑相手には本当に何もせずと、良い場面がほとんどなかったです。
・除去の構成
リーグをプレイしてると、赤系デッキから《熱烈の神ハゾレト》を出されて負ける事が多くなってきました。《熱烈の神ハゾレト》は赤同型には相当強いカードなので、RPTQでも対峙する機会は多いと予想されます。
元々、《不屈の神ロナス》や《蔦草牝馬》などの除去耐性のある生物にも手を焼いていたので、除去選択の見直しは必要と感じました。
・横並びの展開に対処できない
具体的には赤単ケルドの事なのですが、1対1交換しているだけでは漏れて出た生物にライフを詰められ、盤面を作っても本体火力で負けというケースが多々ありました。3マナでのアクションも薄く初動を抑え切れないこともしばしば。
これだけ書くと「ただの構築ミスじゃねーか」というツッコミが飛んできて終わりなのですが、もちろん良かった点もあります。
・《死の権威、リリアナ》で《再燃するフェニックス》を釣る
この動きはとても強かったです。
相手が苦労して除去やカウンターした《再燃するフェニックス》が戻ってくる上に、《死の権威、リリアナ》も場に残るので盤面が一気に傾きます。
ゲームを決定付ける一手となる事も多く、積極的に狙っていきます。デッキ名を敢えて「赤黒フェニックス」としたのもこれが理由だったりします。
・《宝物の地図》がいぶし銀
序盤に除去を構えていても、相手が生物をプレイしてこなければマナが無駄になってしまうので、能動的に動けるカードとして良い働きをしてくれます。
最初は2枚の採用でしたが、複数引いても嬉しいので増量したいと思いました。
良かった点は最大限活かし、悪かった点を改善した結果、今回RPTQで使用したデッキが完成しました。
それがこちら。
改善点
・青系コントロールへの回答
メインボードはさすがにどうしようもありませんでしたが、サイドボード後に連取できるようにサイドプランを変更しました。《豪華の王、ゴンティ》の採用です。
どれだけ手札を攻めてもトップデッキを受けれないという赤黒の弱点を、《豪華の王、ゴンティ》で相手のカウンターを拝借することで達成しようという考えです。また、《再燃するフェニックス》同様《死の権威、リリアナ》や《最古再誕》で再利用しても嬉しいため、デッキの方向性ともかみ合っています。
《アズカンタの探索》に対しては無色土地枠を《廃墟の地》に変更することで対応することとしました。
《風雲艦長ラネリー》で宝物を貯めて《オラーズカの供門》の昇殿を達成する動きを考えた時は天才か、と思いましたが現実を見る事にしました。大人ですからね。
・チャンドラ、ラネリー、向こう見ず
抜きました。
・除去の構成
サイドボードの《大災厄》をメインボードに移しました。
《大災厄》は常にサイドインしていたので、それならいっそメインに移そうかなと。
赤単ケルドに対しても、サイドボード後は相手も《反逆の先導者、チャンドラ》や《熱烈の神ハゾレト》を入れて重くシフトしてくるので、無駄牌になることはなかったです。
メインボードで増量した《最古再誕》と合わせて、課題であった《熱烈の神ハゾレト》、《不屈の神ロナス》、《蔦草牝馬》ついでに各PWと対処しにくいパーマネントへの対処が容易になりました。
・横並び(赤単ケルド)への対策
《焼け付く双陽》を採用しました。これは赤単ケルドを意識しての選択ですが、《蔦草牝馬》や《茨の副官》にも対応できて良いカードでした。《大災厄》や《最古再誕》の前にプレイすることで、これらをより強く使えます。
ちなみに《金線の使い魔》も赤単ケルドに対する負け筋を減らすためにした選択です。赤単ケルドだけ見るなら《本質の吸収》の方が強いのですが、黒黒を序盤に捻出できない可能性があるのと、《金線の使い魔》が青系コントロールに対しても一応クロックとして機能する点からこちらを採用しました。《死の権威、リリアナ》で釣れるのもポイントです。
リーグを回していても青系コントロールとばかり当たるため、爆勝ちとまではいきませんでしたが、赤系に対しては想定通りの勝ち方はができていました。
RPTQは赤系のデッキが半数近くを占めていると予想していたため、このデッキを持ち込む事に決めていざ出陣。大切なのは覚悟ですね。
結果
○緑t黒ガルタ
○赤黒アグロ
×赤黒アグロ
○ターボフォグ(同行者が下当たりでトスしてくれました。感謝)
○エスパーコン
○赤黒アグロ
○赤単ケルド
6-1で4位!PTの権利を得ました!
会場は予想通り赤祭りでしたが、赤系アグロが合わせて50%超えているとは思いませんでした。僕にとっては良いフィールドでしたが笑
せっかく権利を頂けたので、仕事の都合をつけて参加できるようにしたいと思います。
まずは上司に交渉するところからですね。大切なのは覚悟ですからね。
RPTQの後は一週空けて日本選手権、GP香港が控えています。
両方とも参加予定ですので、この良い流れを継続していけたらと思っています。
棚橋 雅康