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翻訳記事!?Francesco Neo Amatiの「判断と適応・・・マジック・オンラインのUWマスター "Curryvore" にインタビュー」

こんにちは!Onogamesです。今回は先日Twitterで紹介させていただいたOnogamesメンバー齋藤さんへのインタビューの翻訳記事となります。

はじめに、原文記事を書いて下さった方の紹介をさせて頂きます。

Francesco Neo Amati(通称フランチェスコさん)

 

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フランチェスコさんはモダンUWxフリークであり、FacebookUWxコミュニティ管理者の一人でもあります。彼の所属するコミュニティは4300人を超えるメンバーを抱えており、日夜を問わず議論が交わされています。興味のある方は参加を検討してみてはいかがでしょうか?

また、彼はMTG記事の執筆も手掛けており、ファンサイト「Transmute」へ記事を投稿しています。今回のインタビューもこのサイトへ投稿されました。

もちろん愛用のデッキはUWxミッドレンジ/コントロール、好きなフォーマットはモダンです。

それではフランチェスコさんの記事をお楽しみください。

 

投稿者:Francesco Neo Amati

投稿日:2018年6月2日

原文:

[Modern] Francesco’s Rare 1 on 1 with MTGO’s UW Master - Curryvore: Assess & Adapt

https://www.transmute.io/article/showArticle/20/modern-francescos-rare-1-on-1-with-mtgos-uw-master---curryvore-assess--adapt

 

判断と適応・・・マジック・オンラインの青白マスター "Curryvore" にインタビュー

 

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 歴戦の「UWミッドレンジ」を操る"Curryvore"

  

"生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、最も変化に適応したものである。"

 

トーナメントで使うデッキを選ぶとき、移り気に「今月のイチオシ」を手に取る人々は多い。今月のイチオシとは、つい最近大型トーナメントでTOP8に入賞したり、その瞬間統計的に最も勝率が良かったりするような、いわゆる「ベストデッキ」とも呼ばれるデッキ達だ。そういったデッキは結果に強さが裏付けされており、安心感がある。しかし、ことモダンにおいては、あるデッキを使い込んだ経験先見的なカード選択メタに関する知識といった要素も自身の優位性を高める重要なカギとなる。あなたに勝利をもたらすデッキがその時その時のベストデッキだけとは限らない。あなたが最も理解しているデッキ(とちょっとした幸運)によって果たされる勝利もある。

 

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Twitter訳:Reid Dukeがアブザンで9-3を成し遂げた事実は、モダンにおいてデッキ理解度がいかに重要であるかを物語っている。もちろん、いかに彼はマジックが上手いかを示す好例でもある。

(訳注1:Saffron OliveはGoldfish.com運営チームの一人。)

 

Reid DukeやCraig Wescoeのように一貫して同じデッキを使い、それをメタに適応させ続けている名プレイヤーもいる。一つのデッキを極め、75枚のサイドイン/アウトを知り、環境を理解し、そのうえでトーナメントに挑むことのアドバンテージは計り知れない。もちろん、相手のデッキについてもよく知っておく必要はある。上述の通り、多種多様なデッキで溢れるフォーマットでは、己のデッキ理解度によってデッキを選ぶことが賢い選択となり得る。しかし、そのデッキに相手のデッキと渡り合える地力があるか、メタに合わせた調整ができるかといったチェックは無視できない。

 

私自身について言えば、私はモダンをプレイし始めた2011年からずっとUWミッドレンジの虜だ。UWミッドレンジがメタゲームの主役を飾ったことはついぞないが、我々UWミッドレンジマニアにとってそんなことは関係ない。中でもJB2002(板東潤一郎)と謎のMOプレイヤーCurryvoreは、モダン黎明期から筋金入りのUWミッドレンジ使いだ。

 JB2002

https://www.mtggoldfish.com/player/JB2002

 Curryvore

https://www.mtggoldfish.com/player/Curryvore

 

ブレードランナー2049」でライアン・ゴスリングがハリソン・フォードを執拗に追い回したように、私は何年もCurryvoreなるアカウントの持ち主を探し続けていた。しかしてついに先日、UWマスターたる彼自身が執筆した記事(https://onogames.hatenablog.com/entry/2018/05/08/195750)を発見したのだ!彼の名前は齋藤鷹也で、日本のチームOnogamesに所属している。

最近の彼の功績を紹介すると、2018年3月9日に彼がリーグで5-0したUWコントロールが、別の使用者のもと3月25日にGP京都でTOP4を果たした(訳注2)。彼自身もGP京都のサイドイベントMonthly Modern MastersでUWミッドレンジを使い優勝している。

2018年3月から彼はすでに7回以上リーグを5-0している。デッキはすべてUWミッドレンジだ。

(訳注2:使用者は齋藤さんではなく田中陽さんで、デッキも完全に同じではなく数枚違い。JBさんのデッキが元になっており、齋藤さんはあまり関係ありません)

 

私は彼に連絡をとり、インタビュー(訳注3)を申し出た。彼との対話を今日までどれほど楽しみにしてきたことか・・・!彼は私のお願いを快く引き受けてくれた。それでは、さっそくいってみよう。

(訳注3:インタビューはリアルタイムの対話形式ではなくフランチェスコさんが齋藤さんに質問リストを送る形で行われたため、齋藤さんの回答が後の質問内容と被っていることがあります。)

  

どうしてUWミッドレンジ?

 

フランチェスコ

こんにちは、ミスター・タカヤ。2014年頃から、私のUWxコミュニティであなたの活躍を紹介させて頂いています。Curryvoreとして親しんできた謎多きUWマスターについに出会うことができて、本当に光栄です。

マジック歴は何年ですか?どうしてモダンでは他のUW系デッキ(UWコントロールやUWタッチBなど)ではなくUWミッドレンジを使っているのですか?

 

齋藤:

 こんにちは、はじめまして!

僕は16年くらいマジックをプレイしています。その大部分を白いアグロデッキと共に過ごして来ましたが、数年前にJB2002さんのTwitterで拝見したUWコントロールに感銘を受け、それ以来UWコントロールが好きでずっと使っています。クリーチャーを多く採用していますが、ミッドレンジというよりコントロールを使っていると思ってプレイしています。

僕の目標は、環境全てを受け切るコントロールを作る事です。モダンではアグロ、コンボ、コントロール、様々なマッチアップがある為、受けの広いカードを多く採用する事がそれを達成する方法だと考えていています。

例えばアグロ相手にカウンターを多く引きたくありません。コントロールに除去、コンボに重たいフィニッシャーも同様です。クリーチャーを多く採用しているのはそういった裏目を潰す為です。それらは除去に変わって序盤を支え、アドバンテージを獲得し、フィニッシャーの役割も担います。

 

フランチェスコ:

人間・ホロウワン・マルドゥ・親和・ジェスカイに支配されている今のメタで、UWミッドレンジの立ち位置はどうですか?

あなたにとってUWミッドレンジは絶対の選択肢でしょうか?それとも、メタによっては違うデッキも使う?

あと、UWミッドレンジの総合戦績も教えて頂けますか。

 

齋藤:

それらのデッキとはよく戦えていますが、人間はアグロの中でもっとも苦手です。妨害が豊富な上、クリーチャーのサイズでもこちらを上回ります。それでも全体除去をプレイできれば勝利することができます。

親和にはもともと相性がよく、ホロウワンにもサイドの《ルーンの光輪》と《安らかなる眠り》が効果的で最近はほぼ負けていません。

マルドゥとはいい勝負ですが、サイド後は《安らかなる眠り》がプレイできれば有利です。《血染めの月》だけはしっかりケアして、フェッチランドと《廃墟の地》を序盤に使うように気をつけたいですね。

対ジェスカイは以前は有利だと考えていましたが、今は《ドミナリアの英雄、テフェリー》のせいで少し不利だと感じています。着地してしまうと対処が非常に困難で、先出しした《精神を刻む者、ジェイス》さえも葬ってしまいます。対UW系全体に言える事ですが、相手の方がデッキパワーが高いですし、全体除去を有効に使われてしまう為、立ち回りが難しいです。長引くと負けてしまう事が多いです。

 

今はミッドレンジがいいと思いますが、今後環境が変わればわかりません。過去にはプレインズウォーカー型のコントロールを使っていた時期もありました。

モダンのメタゲームは人間の活躍に端を発して動いてきています。アグロにはマルドゥやジェスカイ、そしてそれをトロンやヴァラクートが狙います。

その瞬間のトレンドを捉えることももちろん重要なのですが、それでもモダンは何にでも当たります。対策を寄せ過ぎるよりも受けを広く構築したいですね。

 

以下が3月末にデッキをミッドレンジ型に戻してからの成績です。

MOでは125-61(67.2%)。5-0が7回です。

リアルでは2度のIDを除いて18-5(78.3%)です。

  

優位点 & 劣位点

 

フランチェスコ:

他のUW系デッキと比較した時、UWミッドレンジの優位点/劣位点は何でしょうか。相性の良いマッチアップ、悪いマッチアップは?

モダンのコントロールデッキの代表格はジェスカイですが、このデッキとの相性はどうでしょう?

 

齋藤:

このデッキは、良く言えば状況次第で攻守を柔軟に切り換えることができるデッキです。《修復の天使》が除去とクロック両方の活躍をしてくれるからです。盤面をある程度制圧したら、《天界の列柱》と一緒に速やかにゲームを終わらせます。ゲームが早く終われば、相手の反撃の為の時間を与えずに済みますし、引き分けのリスクも少なくなります。

デッキパワーは(他のUW系と比較して)劣ります。悪く言えば攻めも守りも中途半端なデッキなのです。最近は《ドミナリアの英雄、テフェリー》に苦しめられる事が多く、何らかの対策が必要だと考えています。

 

ホロウワン、バーン、親和とは相性が良いです。サイド後は3枚の《ルーンの光輪》が素晴らしい活躍をしてくれます。

良くないのは、あまりいませんが青いコンボです。エターナルブルーやライブラリーアウトは最悪ですね。土地を伸ばしてカウンターを構えながらコンボを決める、4C風景の変容も苦手です。

意外と相性がいいのはドレッジです。メインからまとめて追放できる除去が多い事と、サイドの《ルーンの光輪》が《恐血鬼》と《秘蔵の縫合隊》を封じてくれる為です。

 

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デッキの根幹 & コンセプト

 

フランチェスコ:

UWミッドレンジは《前兆の壁》や《台所の嫌がらせ屋》で相手のクリーチャー展開を誘い、全体除去でゲームの流れを掴んだら、飛行クリーチャーやプレインズウォーカーで一気に相手を仕留めるようデザインされています。しかし、クリーチャーを出しながら全体除去を撃つというコンセプトは、このデッキをよく知らない人には賛同を得られ難い面もあります。

もしこのデッキの骨格となるカードを挙げるならば、それは何でしょうか?

このようなデッキのコンセプトやゲームプランは、噛み砕いて説明するとどのようなものでしょうか?

 

齋藤:

主役は《修復の天使》です。攻守の要であり、アドバンテージ獲得手段でもあります。

基本は受けに回ります。盤面を《壁》と《嫌がらせ屋》で支えて、それを除去やカウンターでサポートします。全体除去を引けている時は、もっとも効果的なタイミングまで相手を引きつけてからプレイします。

相手がアグロではない場合は、できるだけ早めにクリーチャーを展開し、クロックパーミッションとして振舞います。

 

フランチェスコ:

私のUWxコミュニティのメンバー、リチャード・ジョンからの質問です。

テンポに関して、盤面にクリーチャーを展開するタイミングと全体除去を使うタイミングの線引きはどうされていますか。計算に基づいて行うのか、手札に基づいて行うのか・・・。

 

齋藤:

これは、ケースバイケースですね。飛行クリーチャーを展開して先に殴り切れそうなら、展開します。無理そうなら、展開は控えて盤面のクリーチャーもブロッカーに回します。相手が追加のクリーチャーや除去を使った後で全体除去を打ちます。上手くリソース差をつけたいですね。

また、ラスを打つ前提で展開する時は、《壁》や《嫌がらせ屋》を優先して出します。ラスで流れても損をしないですからね。その後、《嫌がらせ屋》を《修復の天使》で治せるとベストです。

 

フランチェスコ:

瞬速持ちのクリーチャーは対コンボ・対コントロールで重要な役割を担っていると思います。妨害と攻撃の組み合わせは対トロン等にも有効です。

UWミッドレンジを使う時、あなたは普段どのような方針をもってコンボやコントロールと戦っていますか?

 

齋藤:

トロンには土地を攻めて時間を稼ぎ、クロックをカウンターでサポートして押し切ります。《天界の列柱》を含めて何ターンで削りきれるかを考えます。自分の《壁》に《流刑への道》を打って、《列柱》の起動を早くするのも一つの手段です。《列柱》は《精霊龍、ウギン》や《忘却石》で触れないことも覚えておくといいです。

《謎めいた命令》はメインで土地をバウンスすることもあり、それが《造物の学者、ヴェンセール》だとなお素晴らしいです。

《ヴェンディリオン三人衆》が引けるとゲームが非常に楽になるので、今は3枚目をサイドに取っています。あと、《払拭》もサイドインします。《自然の要求》から《広がりゆく海》や《石のような静寂》を守る為です。打ち消せる的は《自然の要求》だけですが、抜くカードはたくさんありますし、刺さったときのリターンが大きいです。

 

対コントロールは上記したように長引くと不利になりますし、引き分けのリスクも高まります。そのため、なるべくアグレッシブにプレイします。今はジェイスが少ないので、例え後手の3ターン目でも《嫌がらせ屋》をプレイして押していきます。《テフェリー》が出るターンは気をつけなくてはいけませんが。

不運にも相手の土地が止まった場合は、動かずに相手のディスカードを見守るといいです。大抵の場合は除去を捨ててくれます。

相手が《アズカンタの探索》を出してきた時は、変身まで《廃墟の地》を手札に温存する事があります。こちらに《廃墟の地》があると変身してくれませんし、相手の《廃墟の地》にこちらに《廃墟の地》が対処されてしまいます。

 

《血清の幻視》《選択》と《瞬唱の魔道士》

 

フランチェスコ:

あなたのデッキ構築スタイルはJB2002とよく似ているように思います。彼もUWミッドレンジを約10年にわたって使い続けている強者です。渡辺裕也がJBのUWオジュタイをアレンジして、2015年の世界大会で使用し10位を飾ったことは特筆に値します。

あなたとJBが使うUWに共通しているのは、《血清の幻視》《選択》と《瞬唱の魔道士》のセットが採用されていないことです。UWコントロールと比較して、これらのカードを採用しない理由はなんでしょうか?

ドローソースに関しては、あなたは《前兆の壁》3~4枚+《広がりゆく海》4枚のセットをよく使用していますが、それは何故でしょうか?

 

齋藤:

《血清の幻視》や《選択》は受けに回るデッキにとって重要なカードであると理解しています。必要なカードを探し、不要なカードを避けることができるからです。

ですが、この枠は《壁》にしています。デッキコンセプトである《修復の天使》の為でもあり、アグロに対してドロースペルではできない仕事をしてくれます。《スレイベンの守護者、サリア》の影響を受けないことも重要です。ドロースペルを壁にすることで、デッキパワーを上げる事ができると考えています。

《壁》と《海》は不要な相手にはテンポロスになってしまい、サイド後によく抜けるカードですが、キャントリップで他のカードと交換できるおかげで、メインでは様々なデッキに対応できるカードです。

《壁》はコントロール戦でも相手の《瞬唱》を止めるシブイ活躍をしてくれるので、サイド後も少ししか抜きません。《修復の天使》の価値を高めてくれますしね。

 

このデッキはスペルが少ないので、《瞬唱》を安定して強く使えません。サイドの《安らかな眠り》とのアンチシナジーもあります。今は必ずサイドに《安らかな眠り》をとりたいので、アドバンテージ獲得手段を墓地に頼りたくないのです。

  

流動的なスロット & メタを意識したカード選択

 

フランチェスコ:

あなたの直近のリーグ5-0リストでは《血清の幻視》を1枚だけ採用していますね。MMMで7-1-1を記録したリストでは、《血清の幻視》は2枚採用していたと思います。

《血清の幻視》を0枚にして、別のカード、例えば追加の除去・打消し・クリーチャー(特に《瞬唱の魔道士》)に充てることは可能でしょうか?

 

齋藤:

変更の可能性はあると思いますが、今は回していて丁度いいと感じています。サイド後は《壁》か《海》が抜けることが多いので、《血清の幻視》には安定して土地を引く為の潤滑油としての役割があります。

 

フランチェスコ:

《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn(SOI)》と《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant(MM3)》の活躍はどうですか?どのようなマッチアップで光るカードでしょうか?

 

齋藤:

《アヴァシン》は、デッキコンセプトを保ったまま追加できる強力なカードを探している時にたどり着きました。《修復の天使》では止まらない4/4の《カマキリの乗り手》が止められます。反転の能力は能動的に使う事はほぼ不可能ですが、相手はこちらの《嫌がらせ屋》や《壁》を迂闊に倒せなくなる為、意外な抑止力として働きます。

 

《ヴェンセール》も人間とのマッチがきっかけで採用しました。《サリア》を前に全体除去と《青命令》を引いて、プレイできずに負けてしまったのです。《ヴェンセール》はコンボやコントロール、特にトロンとのマッチアップで素晴らしい仕事をします。クロックを展開しながらトロンが揃うのを邪魔したり、重たいスペルを差し戻したりできます。《修復の天使》との仲もいいです。

 

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フランチェスコ:

JB2002が共有してくださった最新のリストは上の画像の通りです。《台所の嫌がらせ屋》と《修復の天使》をリストラし、より多くのプレインズウォーカーを採用していますね。一方で《前兆の壁》4枚、《ヴェンディリオン三人衆》2枚、《龍王オジュタイ》2枚といったクリーチャーは引き続き採用されています。特に《龍王オジュタイ》については、《水辺の学舎、水面院》の有無に関わらず、今でもJBにとって最高のクリーチャーであるようです。

 

《台所の嫌がらせ屋》については、「環境の他のクリーチャーの質についていけていないため採用していない」とJBから聞きました。あなたも2018年3月9日にこれと似たリストでリーグを5-0していますが、《台所の嫌がらせ屋》についてどのようにお考えでしょうか?

 

齋藤:

JB2002さんのリストは僕もチェックしています。僕はJB2002さんほど上手くないので、彼のリストを使いこなす事は出来ませんでした。リストには作った人のプレイスタイルが強く反映されると思います。逆にカードの採用理由などを聞いてみたいですね。

 確かに《嫌がらせ屋》はエルドラージや強化された人間を止めきれない事もありますが、全体で見ればいい活躍をしてくれていると思っています。

  

《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を最大限生かせるデッキとは

 

フランチェスコ:

《ドミナリアの英雄、テフェリー》とは異なり、《精神を刻む者、ジェイス》はブルームーンとUW奇跡以外で目立った活躍ができていません。環境が《精神を刻む者、ジェイス》にとって速すぎるのか、プレイヤーが彼の潜在能力を引き出し切れていないのか。

 UWミッドレンジは、《精神を刻む者、ジェイス》を活用するのに良いデッキだと思いますか?

 

齋藤:

このデッキはブロッカーを用意できるので、《ジェイス》を使うのに向いていると思います。ですが、《ジェイス》の強さを引き出せるデッキは、もっと他にあるような気がしています。

 

フランチェスコ:

メイン・サイドに採用し得る他のカードはなんでしょうか?ギデオンシリーズはどうでしょう。《世界のるつぼ》《呪文捕らえ》《聖トラフトの霊》《ザルファーの魔道士、テフェリー》なんかも良いと思います。

 

齋藤:

ギデオンも《修復の天使》と相性がいいですね。忠誠値の減ったギデオンをアタックに行かせて、その後に《天使》で元どおりに治して、さらに+能力を使うことができます。

《世界のるつぼ》はハマると強いですが、一番効いて欲しいトロンには《大祖始の遺産》があります。《ヴェールのリリアナ》にも強いですが、黒緑系にサイドインしたい《安らかな眠り》との相性も悪い為、採用していません。

《呪文捕らえ》は自分の全体除去と強烈に相性が悪く、相手に除去された時のインパクトもケアしきれないので採用していません。

《聖トラフトの霊》はジェスカイを対策するために採用するかもしれません。ギデオンは強力ですが、4マナは相手のカウンターが間に合う事が多いので、《トラフト》のような3マナのカードはいいかもしれません。《否認》もされませんし。

《ザルファーの魔道士、テフェリー》は双子コンボ全盛期の時に《魂の洞窟》と一緒に使っていましたね。今はあまり検討した事がないです。

 

フランチェスコ:

一時期黒をタッチして《集団的蛮行》《未練ある魂》といったカードを試されていたようですが、今でもタッチ黒を検討することはありますか?

 

齋藤:

《集団的蛮行》は受けの広さは素晴らしいカードでしたが、効果自体は弱く、あまり効かないデッキもありました。3色にはマナトラブルや《血染めの月》耐性、無色土地の枚数等の土地がらみの制約が多いですが、新しいカード次第ではあると思います。(白黒ミシュラランドはいいカードでした)

 

フランチェスコ:

最後になりますが、UWミッドレンジというアーキタイプについて何か一言頂けますか?また、UWミッドレンジに興味があるというプレイヤーにアドバイスはありますか?

 

齋藤:

このデッキは基本的にはコントロールの動きをします。裏目を引かないように、損をしないように、負けないようにするのが重要です。ですが、相手のライフを詰めに行けるタイミングがないか、探しながらプレイしてみるといいと思います。特に相手のライフが14のときは、《修復の天使》や《ヴェンディリオン》+《天界の列柱》の7点2ターンで削りきれるので、アタックにいけるか検討してみましょう。

《修復の天使》と能力持ちのクリーチャー達を使うのは、さまざまプレイができるのでとても楽しいです。今回の回答で少しでも伝わるものがあれば嬉しいです。

最後に世界のどこかで、もしくはMO上でみなさんにお会いできることを楽しみにしています!(僕は英語が苦手なので、話しかけられても答えられないかもしれませんが笑)

 

フランチェスコ:

私たちも楽しみにしています!ご回答ありがとうございました!

あなたの存在は、私達モダンUWxコミュニティにとって励みであり大きな財産です!

  

自分自身に正直であれ

 

私が思うに、プレイヤーの人柄はその人のデッキ選択において潜在的影響力を持っている。換言すれば、「私はどのような人間であるか」という問いと「私はどんなデッキを好んで使うのか」という問いは切り離せない関係にある。つまり、デッキ選択はその人の個性やアイデンティティの現れである。個性やアイデンティティは一般に「その人が何に心を揺れ動かされるか」「その人が何に情熱を持っているのか」といった観点から見出すことができるが、デッキ選択もそのプレイヤーの人となりを雄弁に語ってくれる。

 

過去のトーナメント結果は後のメタゲームの流れを予想するための信頼できる手がかりではあるが、時に私たちは予期せぬ事態に遭遇することを覚悟しておかなければならない。このことはマジックの世界に留まらず、人生を生き抜くうえでも当てはまる。物事は常には想定通りに進まない。人生は驚きと落胆で満ち溢れている。しかし、失敗は必ずしも敗北を意味しない。失敗は学び・改善・成功を得るチャンスである。苦境に立たされた時、どのように判断し、適応するかで私たちの個性は試される。マジックに関して言えば、使うデッキを変えることではなく、物事の見方を変えることでもたらされる成長もある。

 

ロッキーはかつてこう言った。「どれほど強いパンチを撃てるかは問題ではない。大切なのは、どれほど強いパンチを浴びても前に進み続けられるかどうかだ。どれほど辛さに耐えて前に進めるか。勝利はそうやって勝ち取るものだ」

 

何かを辞めたくなったら、どうしてそれを始めたのか思い出そう。

諦めることはいつだって選択肢たりえない。

 

キーワードは「判断」と「適応」だ。

 

Francesco Neo Amati

Translated by Naoya"Moroii"Yokozawa

 

 

本文の後にコメントを書き込むのは無粋かとも思いましたが、最後にこの記事を翻訳してくれた友人を紹介させてください。

 Moroii(通称706)

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MTGだけでなくハースストーンの造詣も深い若者です。英語が達者であり、それを生かした仕事をしています。

彼のブログには翻訳記事が沢山あるので是非足を運んでみてください。

yumetorae.hatenablog.com今後は彼の翻訳記事もこのサイトで公開出来たらと考えています。

Moroii君、翻訳ありがとうございました!